カフェの開業のメリットや必要な免許について

一念発起して新たなビジネスを始めようとカフェを開業する方が増えていますが、さまざまなメリットが得られるのと同時に、そこへたどり着くまでには免許の取得や届け出も必要です。
カフェは訪れた人にひと時の安らぎを与えることができる素敵な場所で、おいしいコーヒーやお菓子でお客様をもてなします。そんなカフェを開業するには安心安全が大前提で、免許の取得や関係各所への届け出が必要です。大きな責任も伴う一方でやりがいのあるカフェを自分自身で運営したいと考えて、独立開業する方も増えています。

カフェの開業とは?

カフェ

カフェを開業するには場所が必要で、自身で保有している不動産を利用するか、賃貸で店舗を借りる、商業施設のテナントに入るなどの方法があります。立地条件も重要で、来店したいお客様にとって分かりやすくアクセスしやすい場所が最適ですが、駅前の利便性の高い場所などは賃貸料も高額です。その一方で住宅街にぽつんと建っている隠れ家的なカフェというコンセプトのお店も密かなブームとなっており、たとえ交通の便が悪い場所であっても、都会の喧騒を離れた静かな環境で落ち着いてコーヒーを堪能したいというニーズも存在しています。

従って昨今では必ずしも好立地なのがベストとは言えず、多種多様な場所とコンセプトで人気のカフェが増えています。カフェには多くの人々で賑わい、午前中には軽い朝食を求める方をはじめ、ご近所の主婦や高齢者が集い、コーヒーと共におしゃべりを楽しみ、地域にコミュニティとしても重要な役割を果たします。最盛期の昼休み頃には仕事の合間の休憩にサラリーパーソンが訪れて、一杯のコーヒーを飲んで午後からのお仕事に備えて英気を養います。

午後には学校や会社の帰りのお客様が多く、1日の疲れを癒し、お腹が空いた方には軽食を提供します。このようにカフェはコーヒーや食事の提供だけにとどまらず、地域のお客様にとって欠かせない存在となり、癒しとコミュニティとしての機能を果たします。

そんな夢とやりがいのあるカフェの開業を目指して、物件探しや免許の取得、役所への届け出などを検討する方が増えています。全ての手続きを自分で行えるなら問題ありませんが、初めての方の場合は分からないことや戸惑うこともあります。そのよう場合は、飲食店の独立開業をサポートしてくれるコンサルタントに相談する方法もあります。

カフェを開業するメリットとは?

カフェ

カフェを開業する方には、いわゆる脱サラと言われている、企業で働いているサラリーパーソンを辞めて独立開業する方が多い傾向があります。カフェで成功をおさめた方の大多数は、自身の夢を叶えられたという意見を持っています。

企業の中では組織人として振る舞わなければならず、業務命令は絶対で自分の裁量が入り込む余地がほとんど無かった一方で、自身が開業したカフェならば大きな責任が伴うのと引き換えに全てを自分でプロデュースでき、店舗の内装から提供するメニューまで自由自在にコントロールできます。

しかもそれを飲食したお客様の反応を間近で見ることができ、もしも好評となれば大きな喜びが得られます。もしも美味しくない、好みではないという声があった場合でも、その意見を取り入れて商品開発に活かすことができます。

これまでに無かったお客様との密な関係と自身を高められる環境に、大きなやりがいを感じる方も少なくありません。カフェには毎日さまざまな層のお客様が訪れ、飲食だけではなくおしゃべりも楽しみます。それは地域のコミュニティを提供して活性化に繋がったり、ひと時の癒しを与える場所となれば、それを必要としている人に貢献することができます。

さらにカフェを開業した結果、地域の人気一番店にまで成長させることができた時には、支店を開設してチェーン店として全国展開したり、逆に大手チェーン店からフランチャイズ加盟のオファーが来る可能性もあります。将来的には後継者を育ててそれまでに培ってきたカフェ経営のノウハウを伝授して、独立開業をサポートして自身がコンサルタントになることもあります。このようにカフェを開業することで、ビジネスチャンスが広がるのもメリットです。

カフェの開業に必要な免許とは?

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飲食店を開業する際には食品衛生責任者の免許が必要で、各都道府県に開設されている食品衛生協会が主催する講習を受講する必要があります。受講料は自治体によって異なることがありますがおおよそ1万円前後で、どの都道府県で受講しても全国どこでも共通で利用できる資格なので、開業予定地と受講した都道府県は同一でなくても構いません。

防火管理者は調理など火を使う店舗の場合かつ、お客様の収容人数が30名を超える場合に必要で、日本防火防災協会が主催している講座を受講します。カフェの面積によって種類が異なり、300平方メートル以上の場合は甲種講習となり2日間で7500円、300平方メートル未満の場合は乙種講習となり1日で6500円が必要です。

その他にも届け出が必要で、カフェの場合は飲食店営業許可申請を保健所に提出しなければならず、これを済ませなければ営業ができます。スイーツやパンなどを提供する場合には菓子製造業許可申請が必要な場合もあり、届け出をする前に衛生を保つために規準が厳しくなり厨房を密封させなければなりません。

カフェという形態でスイーツやパンを提供した場合は届け出の対象にならないケースもありますが、自治体や保健所によって見解が異なるケースがあり、事前に確認しておくのがおすすめです。チェーン店やフランチャイズではなく、個人経営でカフェを開業させる場合には開業等届出書をオープンする地域の税務署に提出しますが、開業から1ヶ月前までに手続きを済ませる必要があるため注意が必要です。税務署に行くなら、様々な控除が受けられる青色申告承認申請書の提出も同時に済ませるのがおすすめです。

カフェの開業資金の相場は?

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カフェの開業資金は地価や家賃など立地条件により大きく異なりますが、おおよそ500万円から600万円程度が相場と言われています。店舗用の物件を賃貸で借りる場合には不動産会社に支払う仲介手数料に物件のオーナーに支払う敷金や礼金、保証金に加えて、10ヶ月程度の家賃をまとめて先払いしなければならないケースもあり、これらを合計した物件取得費が120万円程度です。

そして借りた物件をカフェに生まれ変わらせるための工事は内装が40万円、厨房などの設備費が200万円、マグカップやスプーンなどの備品が30万円です。そしてカフェがオープンしたことを多くの人々に知らせるために折り込みチラシやビラのポスティングなどの広告費が50万円、コーヒー豆やスイーツの原材料、光熱費などの運営費が100万円で、ここまでの合計が540万円となります。

これらは一から店舗を構築した場合の試算で、例えば飲食店として利用されていた物件を借りた場合には既に厨房が完備されていたり、内装が整っている場合には初期費用が低減され、開業資金が100万円から200万円程度で済んだ事例もあります。

また、自身の土地で新規にカフェの建物を建築したり、保有している物件をカフェにリノベーションする場合にはさらなる費用がかかります。開業資金の捻出が難しい場合には、食器や空調などリースで利用する方法もあります。リースならば面倒なメンテナンスもサポートしてくれるので、費用対効果を見て検討します。開業した当初にはこれらの諸経費が発生するため採算ベースに乗るまでにはしばらくの時間がかかるので、余裕を持った運転資金を用意して置くことも大切です。

カフェの開業には一見すると様々なハードルがあるかに思えますが、免許は試験に合格する必要もなく講座を受講するだけで取得でき、許可申請も基準さえ満たせば大半のケースでパスできるなど意外と簡単にできることが分かります。その一方で、地域で愛される一番店になるには開業資金で素敵な雰囲気のお店を作るだけではなく、コーヒーの奥深さを探求し続けてこの一杯を飲みたいと思って足を運んでもらえるように弛まない努力も必要です。